eNGawa76

思いついた事を書き留めるやつ。Twitterやってます

咀嚼音放物線

彼のクチャラー具合には驚いた。ソレをSNSに載せたら、どのくらいの同調を得られるのだろうか、考えると虚しくなる。ただ、自分がこの社会に溶け込めていない。その現状を映し出すだけだから。 

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彼のクチャラー具合には驚いた。その堂々とした咀嚼、クチャラーと言うよりクチャリスト。だが、僕と彼、僕の立場上、彼には何も言えない、それが悔しい。見てみろ周りの視線を、どこを見ても人と目が合う状況になっている。まず、その食べ物からどうやったらその音が出るんだ。彼の食べている「とんかつ定食」ごく普通のとんかつ、ありふれたとんかつ。しかしどうだ?彼のとんかつからでる音、まるで乾燥した餅を唾液で柔らかくしながら咀嚼してる様な音。ソノとんかつは「笑い袋」と同じ構造なのか?噛むと音が鳴るのか?例えそうだとしても、ソノとんかつが生み出すものは「笑い」ではなく「不快」なのだ。

とても傍迷惑なとんかつだ。

そんな訳あるか。脳内で自分でネタ提供からツッコミをこなす、こうすれば苛立ちが軽減される。はず。仮に僕の脳内を誰かが覗き見た暁には意味がわからず卒倒するだろう。まず、人の脳内を見る。そんな事は有り得ないだろうが。

「よし!じゃあそろそろ戻るか!」いつの間にか「不快」が終わっていた。「そうですね、もう時間ですし戻りましょうか。」

我ながら感情のコントロールは上手いと思う。明日の昼食はなんとかして断ろう、身が持たない。帰り際にいつもコレを思っている。我ながら成長してないな。

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くちゃもちゃかちゅくちゃサクッもちゃもちゃかちゅくちゃくちゃサクッじゅち

何だその申し訳程度の「サクッ」はイライラする。

彼は今日もクチャリストだ。何も変わらない咀嚼、変わらない僕の嫌悪感、変わらず社会にとけ込めない僕。彼行きつけの定食屋。クチャラーが蔓延る定食屋。彼が頼んだのは「とんかつ定食」ごく普通の、ありふれたとんかつ。3ヶ月前は正常だった客の思考が今では異常。彼が仮に周りを見ても誰とも目が合わない、目が合うのは僕の方。今の社会で僕は異常者なのだ、嫌悪していたクチャラーと同じ立ち位置。それが今の僕。だが、僕はおかしいと思わない。社会は無常なのだ。だから、自分は異常者として今の社会を生きる。いつか変わるはずのこの社会、僕はそれまで異常者であり健常者として生きる。